2019年7月7日日曜日

映画「Girl」

先日、現在Sisterでコラボレーショングッズを展開中の映画「Girl」を鑑賞しました。



ニュー・ドランと呼び声の高いルーカス・ドン監督の長編デビュー作。
主演を務めたのは2002年ベルギー生まれのビクトール・ポルスター。
ロイヤル・バレエ学校に通う学生で、この作品で銀幕デビューを果たしました。

バレリーナを目指す15歳のララが主人公のこの映画。
LGBTQの問題を取り上げているけれど、
この物語が10代の子の物語であるということで
誰もが経験する、多感なあの思春期特有の焦燥感ややりきれない思いは凄く共感する部分でした。
ララのトランスジェンダーとしての悩みは私たちそれぞれが抱えるコンプレックスと似ていてとても他人事とは思えない内容。
人はコンプレックスのあるところだけが痛むように出来ている、という以前読んだ本の言葉を思い出し、
表面では取り繕いながらも葛藤するララの姿が繊細に映し出され胸が苦しくなりました。
繊細な表情の演技に釘付けになり、距離を探りながら寄り添う親子の様子にも心打たれました。

モノローグのない、ドキュメンタリータッチな作風でセリフも多いわけではないのですが
その分、照明やカメラワークが緻密に計算され観ている側も臨場感を味わえる。
ジャパンプレミアの際に監督が話していた照明の使い方も凄く腑に落ちました。
ララがトゥシューズに自分の足をはめる姿はメタファーとして「完全な女性らしさ」に自分をはめ込もうとするララ自身の表現でもあるとの話も。
こういった細部も掘り下げてみていくとやっぱり映画は奥深い。

LGBTQについて議題にあがることも多くなった昨今。
トランスジェンダーのララの役をシスジェンダーのビクトールが演じるということで
論争が巻き起こったようですが、
ジェンダーに対してボーダーを引かず一個人の物語として受け止めたいなと感じました。

センシティブな内容ですが是非この作品はより多くの方に観ていただきたいです。

CHAKI