2012年10月31日水曜日

籠釣瓶花街酔醒

気軽に歌舞伎を観たい時、とってもオススメなのが「シネマ歌舞伎」。


よく東劇で上映されているのですが、
この東劇がまた最高。


チケットを買う時、
「本日は混雑していまして、」
みたいなくだりを、一応店員さんは言いますが、
入ってみれば観客数25%ほど。



人も少なくて、ソファがゆったりで、
待ち合い室にはマッサージチェアまであるお年寄りに優しい劇場です。

一人でふらりと行くのも気兼ねなくて最高。

私が一番最初に歌舞伎を観たのはこの東劇でした。
玉さまこと坂東玉三郎の演目を観たのが最初。

あれは5、6年前で、
すべてを虚構のように思っていた、今よりもっとどうしようもない青二才女だった私が
たまたま一人で観に来た事が始まりでした。

圧倒的な本物の美しさは、
言葉なくともその立ち居振る舞いで、私にエネルギーをくれた事を覚えてます。


それからは、喜怒哀楽の多い中村勘三郎さんものばかりを観劇していましたが、
夢のタッグの作品が上映されると知って駆けつけましたよ..!


現在、勘三郎さんは療養中でご活躍を拝めないので、
こういったシネマ歌舞伎で観られる場を作って頂けるのが本当にうれしいっ!



『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』





















































吉原で実際に起こった事件をもとにした演目であります。





























youtubeのこの予告、一番始めの玉さまの見返りシーン、
これが鳥肌もので美しいのです。

なぜ坂東玉三郎が「玉さま」なのか、これだけで納得出来てしまう。




もう最高に研ぎ澄まされていましたよ。(情夫と玉さまの会話の下りが長過ぎて途中寝てしまったけれど)

勘三郎さんの狂気に狂う表情も、本当に素晴らしい。



ものひとつひとつの表現も面白い。
色男は白塗りであったり、
今回なんて、醜い役の勘三郎さんは顔面が前衛過ぎますね。



そういえば今まで何作品か歌舞伎を観てきて、
ハッピーエンドってひとつも無いな。

とにかく残酷な話が多くて、すぐ人殺すんですけど、
歌舞伎は人の憎しみを、圧倒的な美と力の表現で昇華しているように見えます。



圧巻してしまう表現って、
生きているうちにこの肉眼でどれだけ観る事が出来るだろうとよく考えるんです。

こういう生半可ではないものには、
自分最大級の敬意を持って。

もっともっと、沢山知りたい世界です。


FUYURI